かわさき子どもの権利フォーラム

設立趣意書

                 かわさき子どもの権利フォーラム設立趣意書

                               2017年8月20日 呼びかけ人一同

1 会の名称
かわさき子どもの権利フォーラム
(Kawasaki Forum on the Rights of the Child)
~ちがいが豊かさとしてひびきあう「まち」をめざして~

2 本会設立の背景と趣旨
川崎市には、子どもの「人権」や「多文化共生」という理念を大切にしようとしてきた大きな流れがあります。もちろん、その背景には、子どもが差別を受けてきたという事実や体罰やいじめで大切な子どもを失ってきたという悲しい歴史があります。今回、「かわさき子どもの権利フォーラム」を設立するに当たり、川崎市の人権教育の歩みを少し紹介しておきたいと思います。
川崎市の教育が大きく動くのは、1980年(昭和55年)に旧高津区で起こった「金属バット殺人事件」です。この事件を機に、市内の全小学校を会場で教育集会が開かれ、242カ所、参加者延べ4万人から出された6500件の意見をもとに、1986年に「いきいきとした川崎の教育をめざして」として、報告書がまとめられました。その中で、地域からの教育改革をめざして、「地域教育会議」が提案されます。
また、川崎市は、在日韓国・朝鮮人の多住地域がある都市でもあります。川崎市の人権教育は、在日韓国・朝鮮人の人権問題から始まっていると言っても過言ではありません。川崎市の学校における人権教育の始まりも、1984年に在日の多住地域である桜本地区にある桜本小・東桜本小・桜本中学校(現在、桜本小・東桜本小の2校は、「さくら小」に統合)の「桜3校」で取り組んだ「人権教育」でした。1986年には、外国人教育の一層の推進を図るために「川崎市在日外国人教育基本方針―主として在日韓国・朝鮮人教育―」が制定されました。(この基本方針は、1998年に「川崎市外国人教育基本方針―多文化共生の社会を目ざして―」に改定)
このように1980年代に、川崎市の市民参加の教育改革や人権教育に係わる基本的な方針が整備されつつありましたが、1987年にある小学校の特別支援級で体罰死事件が起きてしまいました。その事件を受け、市教委では「体罰の根絶に向けて」を作成し、小学校長会では「子どもの人権の見直し」を行い、学校経営の基盤を人権尊重教育におくことを宣言しました。
さらに、川崎市教育委員会では、1994年に「川崎市人権尊重教育推進会議」を起ち上げ、子どもの権利条約のパンフレットを全校に配り始めます。一方、市でも1996年に「川崎市外国人市民代表者会議」が設置されます。この施策も、選挙権のない外国人市民に市政参加、意見表明の道を開く画期的な施策だったと思います。2000年には、いよいよ「川崎市子どもの権利に関する条例」が制定されていきます。
しかしながら、川崎市に子どもに関する権利条例が発行された後、中学校で2010年に、「いじめ」により自死してしまう子どもや2015年には不登校の子どもが河川敷で殺害されるという悲惨な事件が起きてしまいました。川崎市の児童の虐待通告件数をみても、2016年にはとうとう年間2000人を超えるようになってしまいました。
昨今のこのような不幸な事件を目の当たりにすると、子どもの教育を地域住民参加、保護者参加、子ども参加で取り組もうという川崎市の「地域教育会議」の理念や一人一人の違いを認め合い、ありのままの自分を大切にしようとする「子どもの権利」に関する理念が、川崎市の子どもやおとなに十分浸透していないのではないかと思えてくるのです。
子どもの権利委員会の実態・意識調査(平成27年3月)でも、子どもの権利条例の認知度は、「知っている」と回答した子どもが11.8%、おとなが6.5%、職員が75.6%いう数値です。また、「聞いたことはあるが内容はよくわからない」と回答する割合は、子どもが33.2%、おとなが25.4%、職員が19.6%です。「知らない」と回答した子どもは54.1%、おとなは66.8%、職員は4.4%もいます。
この数値から、学校や乳幼児等の教育現場で、子どもの権利学習が有効に行われているのかという市民からの問いかけもあります。また、「いじめ」や不登校数の発生件数の推移を見ていると、子どもたちの自己肯定感はなかなか高まらず、「ありのままに生きる自分」に自信を持てていない状況も伺われます。
この原因はどのようなところにあるのでしょうか?もしかすると、私たちおとな自身が幸せに生きるために自分の「権利」を大切にするという認識がないということがあるのかもしれません。おとな社会は、この20年の間に成果主義が定着し、効率的に働くことが求められてきました。そのため、人との関係性をつくることが希薄になってしまっているのかもしれません。最近では、「ワーク・ライフ・バランス」や「働き方改革」などの言葉も耳にすることも多くなってきましたが、企業経営者の中には「働く人の子育て」という視点が無い方がいるのかもしれません。
学校でも、教科の授業時間数が増え「人権学習」に時間を割くゆとりもない状況だと聞いています。地域社会や家庭のありように目を向けても、ひとり親家庭や共働き家庭が増加し、自分の家庭内の課題だけで精いっぱいで、地域社会とかかわりをもったり、自分の子育てを振り返ったりするゆとりすらないという意見もあります。
私たちは、「子どもの権利」を視点として、もう一度、川崎市の子どもの実態に目を向け、子どもたちが川崎市の中で笑顔でくらしているのか、子どもにとってやさしい「まち」であるのか、それぞれの個々の違いが社会の豊かさと結びついているかを、自分に、家庭に、学校に、地域社会に、市民の皆様に、問いかけていきたいと思います。そして、私たちは、川崎にくらすすべての人々と、子どもたち自身が主体者となって、「未来社会を創り上げる力」をどのように育てていったらよいのかを考え合っていきたいのです。そのために様々な川崎市の行政機関、民間NPO、民間企業、市民、子どもたち等と連携し、それらの人々をつなぐネットワークの核になる機関として本団体を設立することにいたしました。皆様に、この設立の趣旨にご賛同いただき、ともに活動していただければ幸いです。

3 設立呼びかけ人
●代 表 山田 雅太
●事務局 圓谷 雪絵
●呼びかけ人(設立委員  アイウエオ順)
荒牧 重人    内田 塔子    小倉 敬子    喜多 明人 
金 煕 淑    小宮山健治    高梨 晃宏    坪井 節子 
西野 博之    野村 武司    朴 栄 子    宮越 隆夫 
山崎 信喜    吉田 恒雄

4 主な活動
 ①子どもの権利・条例の普及活動
  ・子どもの権利学習・条例学習の開発
  ・研修内容の研究
  ・講師派遣
 
 ②子どもの権利に関する条例に基づく活動の支援
  ・条例普及啓発活動支援
  ・こども会議運営支援
  ・かわさき子ども夢パーク運営支援
  ・子どものオンブズパーソン運営支援
  ・子どもの権利委員会運営支援
  
 ③子どもの権利を実現するためのコーディネーター育成
  ・子ども支援コーディネーターの育成
   (寺子屋先生、子ども会議サポーター、こども文化センターコーディネーター等)

 ④子どもの権利条例実施と子どもの権利にかかわるとネットワークづくり
  ・市内子ども支援団体、他都市子ども団体との連携、合同フォーラムなど

 ⑤子どもの権利を大切にする「まち」づくりへの提言
   (例)子どもの意見を生かした居場所、施設等の提言
   (例)子ども参加を促進する施策の提言

●「地域の日」などの提言
      ・各町内会子ども会への参加の促進
      ・地域教育会議・子ども会議への参加の促進
      ・子どもの権利にかかわる活動の促進


会則

かわさき子どもの権利フォーラム 会則  

(名称)
第1条 この会は,「かわさき子どもの権利フォーラム」と称する。

(事務所)
第2条 この会の事務所は,神奈川県川崎市に置く。

(目的)
第3条 この会は,子どもの権利・条例を実現するための活動を行い,川崎市における子ども支援に寄与することを目的とする。

(活動・事業の種類)
第4条 この会は,前条の目的を達成するために次の事業を実施する。
(1) 子どもの権利・条例の普及・啓発活動
(2) 川崎市子どもの権利に関する条例に基づく活動の支援
(3) 子どもの権利を実現するためのコーディネーターの育成
(4) 子どもの権利に係わるネットワークづくり
(5)子どもの権利を大切にする「まち」づくりへの提言
(6) その他本会の目的を達成するために必要な事項

(会員)
第5条 この会の会員は,次の2種類とする。
(1) 正会員は,この会の目的に賛同し入会した者とする。
(2) 賛助会員は,この会の事業を賛助するために入会した者とする。

(入会)
第6条 会員として入会しようとする者は,入会申込書を会長に提出し,役員会の承認を得るもの
とする。

(会費)
第7条 会員は,以下に定める年会費を納入しなければならない。
(1)正会員   5000円
(2)賛助会員  3000円

(退会)
第8条 会員は,退会届を会長に提出し任意に退会することができる。
2 会員が,次の各号のいずれかに該当するときは,退会したものとみなす。
(1) 本人が死亡したとき。
(2) 会費を3年以上納入しないとき。


(役員)
第9条 この会に次の役員を置く。
(1)会長    1名
(2)副会長   若干名
(3)事務局長  1名
(4)会計    1名
(5)監査    2名
2 第1項に定める役員は,会員の互選により選出する。
3 役員の任期は,2年とする。ただし,再任を妨げない。

(職務)
第10条 会長は,この会を代表し,その業務を統括する。
2 副会長は,会長を補佐し,これに事故があるとき,又は欠席の時は,その職務を代行する。
3 事務局長は、本会の事務全般を担当する。
3 会計は、本会の出納事務を担当する。
4 監査は,会の業務および財産の状況を監査する。

(解任)
第11条 役員が次の各号のいずれかに該当するときは,役員の議決により,これを解任すること
ができる。
(1) 心身の故障により,職務の執行に堪えられないと認められるとき。
(2) 職務上の義務違反,その他役員としてふさわしくない行為があったとき。

(総会)
第12条 この会の総会は,正会員を持って構成し,年に1回開催するものとする。ただし,必要
があるときは臨時に開催できるものとする。
2 総会は,以下の事項について議決する。
(1) 会則,事業等の変更
(2) 解散
(3) 事業計画及び収支予算並びにその変更
(4) 事業報告及び収支決算
(5) 役員の選任又は解任
(6) その他会の運営に関する重要事項
3 総会は,正会員の過半数の出席がなければ,開会することができない。
4 総会の議事は,出席した正会員の過半数をもって決し,可否同数のときは,議長の決する
ところによる。

(議事録)
第13条 総会の議事については,議事録を作成する。

(役員会)
第14 条 役員会は役員をもって構成する。ただし,監査役を除く。
2 役員会は,総会の議決した事項の執行に関する事項及びその他総会の議決を要しない業務の
執行に関し,議決する。

(事業報告書及び決算)
第15条 会長は,毎事業年度終了後3か月以内に事業報告書,収支計算書を作成し,監査を経て
総会の承認を得なければならない。

(事業年度)
第16条 この会の事業年度は,毎年4月1日に始まり,翌年3月31日に終わる。

(事務局)
第17条 この会の事務を処理するため,事務局を置く。

(委任)
第18条 この会則の施行について必要なことがらは,会長が役員会の承認を経て別に定める。

(会則の変更)
第19 条 この会則は,総会において,出席者の過半数の承認がなければ変更できない。

附 則
1 この会則は、2017年8月20日より施行する。